古典SFの代表的奇譚!
H・G・ウェルズの『宇宙戦争』のレビューです。古典SFの代表作です。
名前はよく知られていますが、内容はあまり知らない方も多いのではないでしょうか。トム・クルーズ主演で映画化もされていますね。
初出版が約120年前ですから1世紀以上も読み継がれてることになります。簡潔すぎるタイトルですが、内容はそこそこヘヴィです。
こんな人におススメ
- 古典SFに興味がある方
- 侵略ものに興味がある方
- 宇宙人が好きな方
評価
まだSFというジャンルが確立する以前の作品ですから、当時どれだけエキセントリックな内容だったかは推して知るべしでしょう。円谷プロの特撮シリーズなんかはどっぷり影響受けてるんじゃないですかね。
そんな訳でストーリーは高めです。古い海外作品はどうしても翻訳が微妙だったり、あと単位がヤード/ポンド法だったりでイメージが掴み辛くて若干マイナス。
ボリュームはまぁこの位で丁度いい感じじゃないかと。ハマると一気に読み通したくなるくらいテンポはよいです。
主人公である男性の手記形式で書かれており、その体験記は鬼気迫るものがあり没入感はそこそこ高いです。
『宇宙戦争』|基本情報
基本情報
作品名(原題) | 宇宙戦争 (The War of the Worlds) | |
---|---|---|
著者 | H・G・ウェルズ(Herbert George Wells) | |
刊行年(仏国) | 2005年6月(1898年) | |
ページ数 | 318 ページ | |
出版社 | 創元SF文庫 | |
ジャンル | SF |
どんな話?
火星から謎の円筒に乗ってやってきた火星人たち。
イングランドの郊外に落下した彼らは、何の前触れもなく取り巻く人々を熱線による攻撃で葬り去った。
突然恐怖のどん底に突き落とされた人類は何とか防衛のための攻撃を試みる。
そこへ更なる円筒が次々と舞い降り、火星人は新たに3本足の走行兵器を組み立て移動しながら攻撃を開始する。
人々はパニックに陥り散り散りに逃げ惑うが、見たこともない新兵器の前にただただ恐れおののく。
『宇宙戦争』|推しどころ
後の宇宙人のイメージを決定付ける!
この作品によって、これ以降の宇宙人のイメージが決定付けられたのはほぼ間違いないでしょう。
”複数足(触手?)のタコ型” で ”謎の光線銃”を持ついわゆるあの宇宙人の姿です。
今でこそデフォルメされて半ばゆるキャラ的なアイデンティティさえ包含するその様態ですが、物語の中では、地球の重力に抗いながらノソノソと蠢くおぞましい姿として描かれています。
とにかく恐ろしい!!
今も昔も未知のものに対する恐怖は変わらないわけで、これだけ情報化が進んだ現代に於いても、見知らぬ異星人の来訪はやっぱり怖いと思います。
ぬた~っと触手をうねらせて円筒から這い出てくる姿は、想像しただけでも身震いします。
ホラーですよ。。。エイリアンとかプレデターとか、もろにこの影響ですね。
えっ!そんな結末!?
ネタバレになるので多くは語れませんが、「え!?そんな終わり方?」と思うほど意外なラストが待っています。
ただ、よくよく考えると確かにそうかもなぁと妙に納得させられてしまう展開でもあります。
後世の多くの作品に影響を与えた本作だけに、SFを語る上で一度は読んでおいた方がいい作品だと思います。
まとめ
結末は重要なポイントです。
地球まで飛来する技術を擁する火星人の技術力に、19世紀当時の科学知識や戦闘力でどのように対抗するのか。
あまつさえ火星人は地球上で3本脚の(組み立て式)兵器まで製造し、イギリスの街々を蹂躙していきます。
いやいや、そんな猛者相手にどうやって勝とうと言うのか?そもそも勝てるのか? 熱いっす。
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