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『星を継ぐもの』(J・P・ホーガン)創元SF文庫|レビュー

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『星を継ぐもの』|SF小説ならまず最初に読むべき一冊

今回のレビューは J・P・ホーガンの『星を継ぐもの』です。

実はこのタイトルにものすごく重要な意味が込められています。

こんな人におすすめ

  • はじめて読むSF作品を探している人
  • 論理的で理知的なストーリー展開にワクワクしたい人
  • ミステリーや謎解き要素を求めている人

特にこれからSFを読んでみたいと思っている人、「SFって何、うまいの?」という人はまずこの本から読んでみることをおススメします。

最後まで読んだとき、きっと月の見方が変わるはずです。

評価

【30ポイント】

文句なしの満点です。※あくまで主観なのでご容赦願います

自分史上最高ランクに位置する作品なのでオール5点での30点満点。

評価ポイント
  • 緻密に練り上げられた秀逸なストーリー
  • SFにありがちな複雑理論や難解な表現が少なめ
  • 翻訳が丁寧で違和感なく文章自体も非常に読み易い
  • 約300ページと長くも短くもない程よいボリューム
  • 無駄なパートや冗長表現がないためテンポがいい

好奇心を掻き立てられるプロローグで始まり、先が気になってどんどん引き込まれます。

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『星を継ぐもの』|基本情報

作品名(原題) 星を継ぐもの(Inherit the Stars)
著者 ジェームス・P・ホーガン(James Patrick Hogan)
刊行年(米国) 1980年05月(1977年)
ページ数 309ページ
出版社 創元SF文庫
ジャンル ハード系

あらすじ

月面で深紅の宇宙服を着た死体が見つかった。
月面基地で作業する誰のものでもないその死体は、綿密な調査の結果 約5万年前に死亡していたことが判明する。果たして、その死体は一体誰なのか?
なぜ月面で孤独に死んでいたのか?
5万年もの昔にどうやって月まで行きつくことが出来たのか?
謎が謎をよび、世界中の科学者や有識者たちがこぞって解明へと乗り出すが。。。

主要登場人物

主要人物
  • ヴィクター・ハント    : 原子物理学者。メタダイン社の理論研究主任。
  • ロブ・グレイ       : メタダイン実験工学部長。
  • グレッグ・コールドウェル : 国連宇宙軍(UNSA)航行通信局本部長。
  • クリス・ダンチェッカー  : ウェストウッド生物学研究所教授。
  • リン・ガーランド     : コールドウェルの秘書。
  • チャーリー        : ?
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『星を継ぐもの』|推しどころ

5万年前の死体の謎

この本のポイントは、最初の謎から次々と連鎖して新たな謎が派生していくところにあります。

あらすじにあるように、物語は5万年前の死体が月面で見つかった事に端を発します。

この時点で既に何か引っ掛かった方は是非とも手に取って読んでください。


そもそも5万年前っていうとまだ人類が現れる前ですよね。それが何故月でみつかるのか?

・舞台設定が遠い未来?
・実は人間の死体じゃない?
・タイムスリップしてきた?

など、初っ端から妄想が膨らむ訳です。

謎解きのプロセスが周到すぎ

それらの謎について “仮説推論考察議論” を繰り返し「一つの真実を導き出す」。

そのプロセスの緻密さがリアル過ぎて凄いのです。

様々な謎や疑問を徹底的に究明する某探偵局をはるかに超える科学技術や先端技術を駆使しながら、あらゆる角度から検証を行います。

で、やっと一つの謎が解明できたと思った途端、今度はそれを上回る謎が浮かんできます。

そうしながら着々と展開していくのですが、その終着点がまた驚きの大どんでん返し。

(あまり書くとネタバレしてしまうのでこの辺で)

答えが判ったときの充実感がハンパない

謎解きのパートが多く、ミステリー的な要素も本作にはあります。

無数のピースから成る難解なパズルを、一片一片試行錯誤しながら嵌め合わせていき、組み上がった最後の瞬間の達成感・満足感はそれを味わった人にしか分からないのと似ている気がします。

ラスト手前、主人公ハントがある瞬間にフッとすべての謎を解くカギを見つけるのですが、初読の際はあまりの衝撃に読む手が止まりました。

SFとはそもそもフィクションな訳です。

いくら逆立ちしてみても所詮は壮大な法螺話なんですけど、この本を読んだ直後は素直に感動しました。

そして「あぁ、このタイトルってこういう意味だったのか!」と膝を打つ衝撃のラストが待っています。

何かの縁で本書を未読でこのブログを訪れた方、ぜひ騙されたと思って一読してみてください。

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まとめ

ハードSFの大金字塔

これまで何度も増版を重ね、発刊から40年を超えた今なお読み続けられている時点で既に本作が名作であることは証明済みです。

Amazonのレビューをはじめ各所で高い評価を受けている本書は間違いなくハードSFの金字塔であるということは論を俟ちません。

SFは言うなれば「科学を拠り所にした法螺話」であり、なかでもハードSFは数あるSFのサブジャンルの中でもよりリアリズムに重点を置くものです。

その意味で本作の放つそれはまさしく壮大で超リアルな大ボラと言えます。

価値観を変えてくれる一冊

本は色々なことを教えてくれます。

読書好きな人にとって少なからず自分の人生に影響を与えた本というのが一冊はあると思います。

自分にとってこの本がその一冊です。

単にSFというジャンルに興味を抱かせてくれただけでなく、それまでただ漠然と眺める対象でしかなかった星や月の見方を180度変えてくれました。

ただの大法螺話なんですけどね、、、

しかしです、この大法螺がまた見事としか言いようがないホラなんです。

よくこんな見事な法螺話をこさえたなと。逆に見事過ぎて真実なんじゃないかと。

これが事実だったら面白いなぁとまで思わせてくれます。

月が気になりますよ

そう思ったが最後、もう作者の術中にハマったも同然。

月だけに留まらず、「あれ?あの惑星の衛星、そういやどうなったんだっけ?」となること請け合いです。

なのでできれば3冊(『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』)揃えてから読み進めるのをおススメします。

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