オタクが世界を救う
アーネスト・クラインの『アルマダ(上)』です。
スピルバーグによって映画化され話題となった『レディ・プレイヤー1』の著者であるE・クラインの第2作目の長編小説です。
ギークネタ満載なので分かる人には楽しい作品です。
こんな人におススメ
- ゲーム好きな方
- ギークネタが好きな方
- メカアクション系が好きな方
評価
ストーリーは終始チープな感じで、いかにもありがちなお話なんですが、あえてそういう展開にしているのでしょうね。自分的には◎です。
難しい話は出てこないので読み易いし無駄に溜める場面もないのでテンポもいいです。上巻に関して言えばボリュームも程よい感じです。
主人公がゲームや映画好きな点は好感度アップですが、それ以上でも以下でもなく、没入度に関してはまぁそれなりかと。
おススメ度もそこそこ。特に自分と同じようなギークネタ好きな人にはぜひ読んでほしいです。
『アルマダ(上)』|基本情報
基本情報
作品名(原題) | アルマダ(上) (Armada) | |
---|---|---|
著者 | アーネスト・クライン(Ernest Cline) | |
刊行年[新訳版](米国) | 2018年3月(2018年) | |
ページ数 | 320 ページ | |
出版社 | ハヤカワ文庫SF | |
ジャンル | SF |
どんな話?
幼いころに父親を亡くし、母親と2人で暮らす高校生のザック。卒業を間近に控えながらも進むべき進路を見い出せず、バイト先の中古ゲーム屋でアルバイトをしながら、大好きなオンラインゲームで異星人の艦隊と日々激戦を繰り広げていた。
そのオンラインゲーム<<アルマダ>>の世界で、ザックは世界ランク6位の実力を持つ生え抜きのパイロットだった。あるとき彼は校庭の上空を浮遊する<<アルマダ>>の敵戦闘機を目撃する。
果たして彼が見た戦闘機は何だったのか? また父親が残した、屋根裏部屋を占領するほどの古いゲームやSFのビデオテープ、ノートに記された年表が意味するものは?
リアルとゲームの世界が交錯しながら、未知の体験が主人公を襲う。
『アルマダ』|推しどころ
ハードロックからサブカルまで
著者と年代が近いこともあって、共感できるポイントが多かったのは大きな加点部分です。
「スターウォーズ」や「スター・トレック」といったSFの定番作品はもちろん、SF以外の 映画・アニメ・漫画・ゲーム・音楽 に至るまで、幅広い分野でこれでもかとネタを投入してきます(※音楽的な趣味が近しいのは特に好感度高いですね)。
なので、それらのネタがある程度理解できないと面白さは半減してしまうと思います。ちなみに今頃の若い人で”ATARI”とかって分かります?
さらっと古いSF作品の引用とか出てくるので、やっぱり昔のSFも読んどかないとなぁって思ってしまいます。
狙いすましたチープさが魅力
あくまで主観なんですけど、このチープさはやっぱり狙って出してるんでしょうね。じゃなきゃこれだけB級感満載なストーリーにはなかなかお目にかかれないです。
B級と言ってもつまらない訳じゃあなく、思わずニヤッとさせてくれる、程よいB級感を醸し出しているところがこの人の懐の深さなんだと思います。
その芸の細かさや仕込まれたネタを見て「コイツ分かってるなw」っていう共感を呼び起こすのと、「それ知ってるぜ!」的な自尊心をくすぐる表現方法がとても上手いです。
なので多少読み手は選ぶ気がします。
気になる表紙絵。。。
最近のSF小説の傾向なんでしょうね、、、悪いとはいいませんが、それでも絵を見て購入した人は主人公とのギャップを感じてしまうだろうなぁとは思います。
ラノベのように扉絵込みでウリにしているようなものなら全然構わないですけど、老舗の文庫やさんが客に媚びるような絵に頼っちゃうようなのはどうなのよ?と思ってしまいますね。
十分面白いんだから内容で勝負してほしいです。
まとめ
ギークネタいくつ見つけられる?
この本に関しては、まんべんなく散りばめられたギークなネタのすべてが推しどころじゃないでしょうか。
ディープ過ぎて分からないものもありますが、知ってるネタが出てくるとちょっとウキウキしてしまいます。
あと強烈に残ったのは「リローイ・ジェンキーンス!!」の下り。MMOプレイヤーなら知ってる人も多いかと思います。
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