古典SFの傑作アドベンチャー!
ジュール・ヴェルヌの『月世界へ行く』のレビューです。
SFの中でも古典の部類と言える作品で、およそ150年も前に出版されています。
その頃日本はと言うと、、、明治初期!?。。。驚きです。
こんな人におススメ
- 古典SFに興味がある方
- 月旅行に興味がある方
- スリルのある冒険ものが好きな方
1世紀以上も前に書かれたものがいまなお読み継がれていることが既に驚異です。
当時の世界を思いながら読むと感慨深いですね。
評価
日本がようやく文明開化を迎えた頃に月へ行く話を書いているのですから、今考えると驚異的な事柄だと思います。驚天動地なシナリオは得点高いです。
ただ、やはり古い作品だけに翻訳にもどうしても馴染めない表現が出てくるのは仕方のないところで、読み易さという点で若干マイナス。
ボリュームはそれほど多くないです。その分サクサクとテンポよく読み進められます。
アドベンチャー要素満載なのでドキドキ感はありますが、3人称視点の語り口なのでそこまで没入感はありません。全体的にみるとそこそこ高評価となりました。
『月世界へ行く』|基本情報
基本情報
作品名(原題) | 月世界へ行く (Autour de la lune)(Mecha Samurai Empire) | |
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著者 | ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne) | |
刊行年(仏国) | 2005年9月(1869年) | |
ページ数 | 304 ページ | |
出版社 | 創元SF文庫 | |
ジャンル | アドベンチャーSF |
どんな話?
南北戦争後に砲兵隊の元隊員達が集って結成された”大砲クラブ”。彼らはある目的をもっていた。
大砲クラブの隊長によって発案された計画は”巨大な砲弾”を月へと飛ばし、月世界と連絡を持つというものだった。
そこへ、自分自身が月に到達するべくその砲弾に乗り込むと言い出したフランス人が現れ、彼と大砲クラブ会長、装甲版鋳造家の計3人は砲弾に乗って未知の月世界旅行へと旅立つこととなる。
主要登場人物
『月世界へ行く』|推しどころ
陽気な3人旅
隊長のバービケーンとニコールは博学で見識もある学者肌な人物なのですが、そこにフランス人のミシェルが加わることでトリオ漫才のような非常にバランスのとれたパーティとなっています。
道中、様々なトラブルが彼らを襲うのですが、その度に持ち前の知識・経験・そしてユーモアを以て困難を乗り越えていきます。
何より底抜けに明るい アホな のが彼らの最強ポイント。何が起きてもへこたれない精神力は見習いたいところです。
月への憧れ
月に抱くあこがれの気持ちは今も昔も変わらないんだなぁという事を教えてくれます。
日によって形を変え、その引力により干満差をもたらす、人類にとってもっとも身近な天体である月。
SFの世界に足を踏み入れていなければ、いつも見ている月面が実は変化しないということも知らないままでした(お恥ずかしい話)。
SFはフィクションでありながらも多くの事実を教えてくれます。この本にもまた、月に関する多くの事象が記されています。
近年の調査によって刊行当時の一般的見解とは異なる部分も当然ありますが、今でも残る月面のクレーターや地名などは、新たに月への興味を掻き立ててくれます。
鋭い科学的考察。でもノリで突き進む?
「砲弾で月まで飛ぶ」なんて言うと荒唐無稽な話に聞こえますが、実はその方法は、緻密な科学的考察に基づいたもので、打上げ時の初速計算や月面までの到達時間、砲弾の軌道などについてかなり細かい部分まで計算されています。
そうかと思うと不意にトラブルに見舞われ「そんなアホな!」とツッコミを入れたくなるような切り抜け方をしたり、いろんな意味で楽しませてくれる冒険譚です。
そしてクライマックスではアッと思わせるオチも待ってます。さすが、時代を超えて読み継がれるだけはあります。名作です。
まとめ
月へ向かって大砲でロケット発射!
単なるSFアドベンチャーと違って、「ヲイヲイ、そんなんでこの先大丈夫なん?」と別の意味でハラハラさせてくれるところがポイントです。読み進めるのが楽しい本でした。
あと、3人の掛け合いが非常に面白いです(全編にわたってほぼこの3人のやりとりが物語の中心です)。
特にフランス人のミシェルがいい味出してます。難しいことは分からないんだけど、とにかく明るくてチャーミング(男ですけどね)。
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