メカでサムライでエンパイア!
今回はピーター・トライアスの『メカ・サムライ・エンパイア(上)』。
チンプンカンプンなタイトルですね。
前作の『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』をご存知の方は「あぁ、あの続編ね。それっぽいね。」な感じだろうと思います。
表紙の見た目に惹かれて読んだ方も結構居るかもしれません。
さて今作はどんな感じでしょうか?
こんな人におススメ
- メカがすきな人
- サムライがすきな人
- エンパイアがすきな人
(おちょくってすいません・・・)
上下巻でもそれほどボリュームが多い方ではないのでサクッと読めます。
歴史(改変)ものですがあまり気にせず単純に楽しめる作品だと思います。
評価
歴史改変ものということで、『高い城の男』とジャンル的には同じ系統ですが、タイトルと表紙からしてこちらは割とSFしています。
前作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』を読まれた方の多くは表紙に騙されたと感じたのではないかと思いますが、今作はちゃんとメカが出てきて派手にドンパチしてくれます。
ストーリーは嫌いじゃないです。
冒頭から、どこかで読んだことがあるような気がしてきますが、それはまぁ置いておきます。
ボリュームの話をすると、何で上下巻に分けたのだろうと思うくらい一冊分は短いです。
が、そこは大人 出版社 の事情ってやつでしょう。
文体もノリもライトな感じで読み易さは高め。ライトノベルに近いのかもです。
主人公にあまり魅力を感じられず、感情移入しにくい分没入度低め、また話の展開上無くてもいいんじゃないかなぁと思う部分もあってテンポも減点。
そこをカットして一冊に落とし込めればもうちょい高めの評価でも良かったのに。。。
と思ったら、新書版は一冊なんですね。そしてこちらはやっぱり評価がよい。
『メカ・サムライ・エンパイア』|基本情報
基本情報
作品名(原題) | メカ・サムライ・エンパイア(上)(Mecha Samurai Empire) | |
---|---|---|
著者 | ピーター・トライアス(Peter Tieryas) | |
刊行年[新訳版](米国) | 2018年4月(2018年9月) | |
ページ数 | 320 ページ | |
出版社 | 早川書房 <ハヤカワ文庫SF> | |
ジャンル | 歴史改変 |
どんな話?
ドイツ・大日本帝国が勝利した大戦後、分割統治されているアメリカ西海岸が舞台(物語内ではUSJ “United States of Japan”と呼ばれる)。
そこに暮らす高校生ゲーマーの青年はメカパイロットに憧れ、陸軍士官学校を目指している。
学力も体力の合格基準以下の彼にとっては高すぎる壁であったが、唯一の特異ジャンルであるメカ・シミュレーションゲームの技術を磨くため、日夜ゲームセンターに通い詰めていた。
主要登場人物
『メカ・サムライ・エンパイア』|推しどころ
見てくれに騙された前作
上の方でも書いてますが、前作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』では、映画『パシフィック・リム』さながらのメカメカしい表紙とは裏腹に、メカアクションはほとんど描かれず、表紙詐欺とまで罵られた苦い過去もあります。
が、今回は違いました。
ちゃんと悪役っぽい生体メカも含めて、ふんだんにメカアクションがさく裂してます。
今回は見てくれに騙されても後悔は少なそうです。
どこかで見たような・・・
あらすじを見てピンと来た方はディック通かSF好きなのでしょう。
『高い城の男』をパクッてと被っていますね。
物語の舞台も前作同様USJです。(関西のテーマパークじゃありません)
なので続編なのかと思いましたが、内容的には別のお話のようですね。
ハインラインの『宇宙の戦士(Amazonのページです)』とも近い感じ。
まぁどちらも名作ですから、大なり小なりインスパイされたとしても何ら不思議はありません。
愛すべきB級映画のノリ
ミリタリーもの、戦闘もの、艦これが好きな方はご存知でしょうが、戦艦には設計に応じて”艦級”があります。
アメリカだと州名ですかね。アイオワ級とかフロリダ級だとかのアレです。
で、この作品に登場するメカ達にも大きさ?型?によってそうしたメカ級があるのですが、それがユニークで面白い。
あとメカ自体の名前も。
たとえば、最初に登場するのがカネダ級のカモシカ號。
カモシカはまだしもカネダって何だ?
機会があったら全艦級とメカ一覧作ってみたいなぁ。(笑)
まとめ
上のように書くと「両方知ってるからいいや」ってなるかも知れませんが、実はそれ以外の部分に結構面白さが詰まっているので、同年代(30台後半~40台位)の人は読んでみたらいいと思います。
忘れかけていた古き良き(?)昭和の名残をほんのり感じていただけると思います。
あと、描写は前作に比べると少し大人しくなっていて、極端なグロさはなくなっています。
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